Electro-Magnetism
片山泰男 (Yasuo Katayama)
目次 戻る∧ 開始=≫ はじめに
1. 力線の表現
2. クーロン力から電場へ
3. ベクトル場の数学
4. Maxwell 方程式とポテンシャル
5. ローレンツ力と座標変換
6. 電線の側の電荷
7. 磁場の発生源の速度
8. 馬蹄形磁石
9. 電場をみるために
10. rot E = 0
11. 場の概念と相対運動の概念
12. 電流ループの飛行
13. 行き帰りする定期航路
14. 飛んでくる電線
15. 単極誘導
16. 3 要素の回転
17. 回転磁石の近辺の電荷は力を受けるか
18. どう解釈するのか?
19. *注
20. 磁場の源の速度が電場の効果をもたらすシナリオ
21. 電磁場に回転相対のない証拠
22. 回転系の電磁場
23. 回転系の電場の発散
24. 回転系の磁場の発散
25. 回転系の電場の回転
26. 回転系の磁場の回転
27. γの効果
28. 地球の磁場の原因
29. 公転軌道上の電場
30. ファラデー板の磁場
≪=BACK TOP∧ NEXT=≫ はじめに
電場と磁場は、同じものの別の側面である。ローレンツ変換でそれらは互いに変換される。 ある系で磁場があるとみる空間の一点は、別の系では電場とみる。 それらは慣性系の間の話であり、回転系などの非慣性系の話ではない。 磁場中を飛んでいる電荷は、電場を見なくては力を受けることができないから、 電荷に並進する系では、磁場を電場とみるという説明は、非常に基本的で明確である。 その系では、電荷は静止しているから、電場以外に力をうける理由が無い。 これには相対論の力の変換が係わり、力の大きさは変化するが、 力の存在の有無は明確である。 だから電荷に並進する系において、磁場は電場に変換されなくてはならない。
F = q (E + v x B)
というローレンツ力の式は、異常に基本的、汎用的な式である。 電磁場のローレンツ変換は、それを壊さずに、それを満たすように作られたといってもよい。
このローレンツ力の式は、回転系のコリオリ場の中を飛んでいる質量が、 速度に比例して力を受けるという形と、全く同じ形態を取る。 重力加速度 g、回転系の角速度Ωの中の質量 m の受ける力は、
F= m (g + v x Ω)
と書ける。そう磁場とは、電荷にとっての系の回転である。 ところがその場合に、そのような説明をしただろうか。 コリオリ場と遠心力の場は同じものの別の側面であるとは言わない(*)。 それらがローレンツ変換されるとは言わない。 それはなぜだろうか。片方はニュートン力学であり、もう一方は電磁気である。 それらは、形態が似ているだけで本質的に関係のないものだろうか。
(*) 全く性質が違うように見える "遠心力とコリオリの力"は、同じものの別の側面である。 遠心力は、回転系の静止点の速度 v と角速度 w との外積 v x w、コリオリ力は、物体の回転系内速度 V と角速度 w との外積 2V x w、 両者の和は、回転系の角速度 w との外積 (v+2V) x w である。(v+V) は、回転系の原点に対する物体の速度で自由質点では場所によらずに一定である。 回転系の原点の取り方の任意性から、回転系の原点を物体の位置にとれば、コリオリ力だけにみえる。 系内速度 V を回転系の原点に加算すると、その物体の受ける力すべてが遠心力になる。
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明らかに磁場は、力学の回転座標系でのコリオリ力に相当する。それなのに、 回転系と電磁気の間には、ほとんど説明がない。静止系で電場とみるものを、 回転系で磁場とみるわけではなく、並進速度が磁場を電場と見させる。 これは、ばかげた疑問を投げているのかもしれない。こう言うと、だれかが反論するだろう。 "マイナスの電荷は逆の系の回転を見ているのではないですか" と。そのとおり、 磁場は電荷にとっての系の回転であり、質量に対応する電荷の大きさには比例しないが、 符号には関係する。 このように回転と磁場との間には、疑問が渦巻いている。 これこそ電磁気の醍醐味である。もやもやした疑問は、はっきりさせる値打ちがある。
もうひとつの大きな疑問は、ローレンツ変換である。ローレンツ変換は、 慣性系に限定した系の間に成立して、その他の系では、並進速度ベクトル v だけを使っても間違いとなるのかもしれない。なぜなら、 慣性系間でしか確認されてないものを、拡張して用いるのだから。 ローレンツ変換の式に速度以外の項をもたないからといって加速度や、 回転が関係がないと思うのは正しいのだろうか。どこまで正しいのだろうか。 なぜかなら、それは、慣性系間の法則であり、加速度や回転の無い場合の式だからである。 ローレンツ変換に加速度や、系の回転が出てないのは、 それがない場合に成り立つ式だからであるという、 恐ろしく基本的なことを考えたことがあっただろうか。
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双子のパラドックスでは、特殊相対論は、加速度運動する粒子を完全に扱うとしていた。 系が慣性系であることが重要でありその中の運動は任意のものが扱えるのである。 しかし、そうだろうか、もう一度疑ってみよう。微細な粒子にも小さな座標系が付着している。 固有時とは、その小さな座標系の時間軸の問題である。 特殊相対論は、加速度運動する座標系を扱っても大丈夫なのだろうか。 加速度系なり、回転系に、並進慣性系の速度を使ったローレンツ変換を使うことは、 間違いをしないだろうか。(これには、相対論の"時計の公準"の章を参照。) さらには、加速度系、回転系では、マックスウエル方程式が成り立たず、 その他の不思議な現象が起きるだろうという。 回転系での電磁気の方程式は、電磁気の教科書であまり見たことがない。 回転系で電磁気の方程式が狂うというなら、回転系での電磁気の式を明確に示すべきである。 それほど難しくはないだろう。もっといえば、回転系のような非慣性系では、 静止系での定義に従った電場と磁場が定義できないというのかもしれない。 電場は、系に静止した電荷が受ける力を電荷で割ったものであり、 磁場は系に速度を持った電荷が速度に比例する力を速度と磁場の外積方向に受けるものである。 回転系では、それがどうして定義できないのだろうか。
電磁気の分かりにくさは、そういう、基本的な疑問にだれも答えないからである。 論争のいくつかは、そういう、基本的な問題を理解しないからおきる。 回転と磁場の説明から単極誘導、モノポールの存在否定など困難な問題、 説明を明確にしたいものがたくさんある。これらの基本的な疑問を解いていくのが、 この章の方針である。
≪=BACK TOP∧ NEXT=≫ 1. 力線の表現
電場と磁場を使う時代になっても、頻繁に顔をのぞかせるのが電気力線や磁力線の話、 とくに磁力線の議論である。ここでは、力線による表現について考える。
図 1. 力線の表現 電気力線は、正電荷から放射状に広がり負電荷で消滅する曲線である。正電荷が単独のときは、力線は周囲に発散する。 力線の本数は、任意の単位の電荷に 1 本を与えることができる。力線はゴム線のように張力を持ち、力線どうしは、 互いに反発して広がる性質がある。力線は、途中の空間で発生や消失をせず、枝分かれや合流をしない。 磁力線は、磁石の場合、N 極から出て S 極に向かうが、磁石の内部を含めるとコイルの磁場と同じく一巡する輪になる。 力線は、かなり正確に電場、磁場の性質を体現している。その張力は、異種電荷のクーロン引力を上手に表している。 ただ、同種電荷による斥力を力線間の反発力で説明するのは、かなり苦しい。
力線の方向が、場の方向を表し、力線の密度がベクトルの大きさを表す。場を線で表現するのは、場が連続的に変化する ことを矢印を多数並べるよりも上手に表す。力線が途中の空間で発生消滅、枝分かれ合流がないのは、電場の発散の源が 電荷であること、磁力線が一巡するのは、磁場に発散の源がないことを表している。また、任意の閉曲面を横切る力線の 総数が内部の電荷を表すというのは、ガウスの定理そのものである。
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さて、"磁力線を横切るときに電場をみる。"というファラデーの表現は、v x B の表現というよりも、 さらに進んで、相対論の電磁場のローレンツ変換を意識したものであるといってよい。 外積 x は、クロスと読み、線に交差する、線を横切るという言葉は、ぴったりしている。 v x B は、v と B の外積 (ベクトル積) であり両方のベクトルに垂直で、v と B を同始点にして、右ネジを v の矢印から B の矢印 へ回すときの進行方向をもつ。大きさは、v から B への角度をΘとして、平行四辺形の面積 |v||B|sinΘをもつ。両者が垂直のとき積である。 外積のベクトル表示は一意的だが、成分表示は右手系と左手系で異なる。右手系 (x,y,z を右手の親指からあてる) の成分表示を示す。例えば、v が x 方向、B が y 方向を向いているとき v x B は、z 方向を向いた |v||B| の大きさをもつ。
v x B = ( v_y B_z - v_z B_y, v_z B_x - v_x B_z, v_x B_y - v_y B_x )
ファラデーは、 "磁力線を横切るときに電場をみる。" と対称な "電気力線を横切るときに磁場をみる" という必要は無かったのだろうか。 そこまで電磁場に対称の予想はなかっただろうし、これは、電荷の運動が磁場を発生することを示したローランドの実験まで待たされる のであろう。しかも、力を受ける見る主体は、電荷でなく存在しない磁荷であるから、なおさらである。 もしも、磁荷 m が存在するなら、電磁場でうける力は、 F = m(B - v x E) であるし、それがみる磁場は、B' = γ(B - v x E) であると 電磁場のローレンツ変換は言う。このように、磁力線を切ることと電気力線を切ることは対称であり、磁力線だけ特別なことは何もない。
力線表現は、静的な場を(定性的に)表すのには、うまく行くようだが、動的な場をうまく表現するとは思えない。 たとえば、磁場の時間変化は、磁力線を切ることとは関係がないのにそう勘違いさせる。 磁力線密度の変化は、磁石配置を変化させないと起こりそうにないので、磁力線と電気力線との関係を考えることは難しい。 力線は、場の発散をとらえるには有効な表現であった。そして静電場、静磁場のような渦の無いの場を表現するにはいいが、 時間変化や、場の回転(渦)を表現することはできない。
ファインマンは言う。"力線による場の図示化は有効だが、実在的にとらえすぎる危険がある。 ある系で力線が止まっていて、別の系ではその線を横切るかどうかは確かでない。 その系ではその力線は無いかもしれない。"
≪=BACK TOP∧ NEXT=≫
"いまさら電磁気学?"の青野修氏は、"磁力線の速度" という言葉を使う。 磁力線を切るときに電場をみるなら、磁力線がどれほど交差しているかを示す場の側の速度という言葉である。 (それに対して、場に速度などないと否定するのが、"電磁気学を考える"の今井功氏である。) 電場と磁場が共存し直交するとき、別のある速度の慣性系では磁場だけになる。 その系に静止した電荷は力を受けない。その系の速度を "磁力線の速度" という。 その導出は容易で、ローレンツ力= 0 の式の両辺に B を外積して求まる。 その系で力を受けない電荷は、この系でも力を受けないからである。
E + v x B = 0
B x (v x B)= B x (-E)
これに A x (B x C)= (A・C)B -(A・B)C と v・B = 0 を用いて、
v = E x B / B^2
この式は、場の運動量 g= ε_0 E x B を、磁場のエネルギーε_0 c^2 B^2/2 の 2 倍で割ったものとなり、 電場は関係ないのかという気はするが、速度の概念ではある。 (場の運動量を場のエネルギー (E^2 + B^2)/2 で割った速度は、方向は同じでも大きさが違う。)
その速度では場と電荷とが力のやりとりがない。それより速度がわずか少ないと電場の影響が残り、多すぎると逆の電場が見えるので、 電場とは、磁力線の速度と電荷との速度の差によるひきずり現象かもしれないと思わせるが、 それは原因と結果を逆にしているだけだろう。磁力線の速度は、電場を大きくすれば大きくなるが、 速度は光速限界を持ち、E = B となると純磁気的系をもたなくなる。 純磁気的系をもつのは、E < B のときで、この速度は、c E / B となり、 B < E のときは純電気的な系を速度 c B / E にもつことが、 ランダウ・リフシッツの"場の古典論"にある。
≪=BACK TOP∧ NEXT=≫ 2. クーロン力から電場へ
静止した電荷同士の間のクーロン力は、両者を結ぶ直線上の向きをもち、 両者の電荷の積に比例し距離の 2 乗に反比例する大きさをもつ。 電荷 1 の受ける力 F_1 と電荷 2 の受ける力 F_2 とは大きさが等しく、方向が逆であり、 作用反作用の関係にある。 F_1= 1/(4πε_0) q_1 q_2 e_{12}/ r_{12}^2 = -F_2
4πε_0 = 10^{-7} * c^2 = 9.0 * 10^9
いまもし第三番目の電荷 3 があっても、2 と 3 からの力は、2 からの力に 3 からの力を 加算したものであるという事実がある。 この力の重ね合わせは、クーロン力が相手の電荷量に比例しなければありえない。 2, 3 が同じ位置にある場合に電荷量を加算して一つの電荷とすることができるためである。
F_{1,23}= F_{1,2} + F_{1,3}
その反作用もその大きさであるためには、クーロン力は、受ける側の電荷量にも比例する必要がある。 それは実際正しく、この事実が場の概念を生みだすのである。
クーロン力を受ける電荷量で割って電場とし、場(空間の一点)の性質とする。 電場は、その位置に単位電荷を置けば受けるであろうクーロン力である。 電場は相手側の電荷だけによる。 クーロン力に加算が成り立つことから、電場も線形であり加算ができる存在になる。 クーロン力から電場へという概念の変化によって、不可解な遠隔力は、場との間の近接力となった。 それは、空間の物体化の始まりでもあった。
F_1 = q_1 E
E = 1/(4πε_0) q_2 e_{12} / r_{12}^2
≪=BACK TOP∧ NEXT=≫
クーロン力の式は速度を含まず、ニュートンの万有引力風の式であるが、静止電荷にしか適用できず、動く電荷には適用できない。 また、座標系の変換に耐えられない式である。式に速度を含まずに動く電荷に適用できないのは、速度に関係がないと思わせるから、 一種の欠陥式である。ローレンツ力のように式に速度を含むのも異様なものだが、速度を含まないからといって、ガリレイ変換又は ローレンツ変換に耐えるという保証があるわけではない。 それに対して、ローレンツ力は、静止電荷ではクーロン力からの電場の式 F= q E と等しいが、電荷が速度 v をもって動くとき 磁場 (これも動く電荷だけが生み出すものだが) から受ける力 v x B の項が付け加わる。
F = q ( E + v x B )
ローレンツ力の中の電場 E と磁場 B は、座標系の変換に耐える。電磁場のローレンツ変換が明確に定義され電磁場は相互に変換される。 ローレンツ力の式は速度を含み、変換に耐えるはずはないと思うかもしれないが、これが逆に電磁場のローレンツ変換の式を導くのである。 電磁場が並進の座標変換にあわせて姿を変えるからである。磁場が電場に姿を変えることを使うとどの系でも成り立つ式なのである。 誰もが、この式に最初に出会ったときに、この速度をもった式を不思議に思ったと思う。この速度は、何に対する速度なのか、測定系に 対する速度であろうが、本当は、何に対する速度だろうか、そこに相対性は、あるのかと。
≪=BACK TOP∧ NEXT=≫ 3. ベクトル場の数学
電場は、力のベクトルから電荷を取り除いた場の性質として作られたベクトルであるため、 空間の各点に連続的に存在する、方向と大きさをもつ"ベクトル場"である。 それに対して、空気中の温度のような方向をもたない大きさだけが空間に分布しているのを "スカラー場"という。また電場は、電荷が静止していない場合、時間的にも変動する。 磁場もこれと同様、大きさと方向を持った空間に分布するベクトル場である。
電磁気にはこのようなスカラー場、ベクトル場の数学が使用される。 ベクトル場には、div(発散)と rot(回転)という 2 種の空間的微分演算が大きな役割をする。
div E= dE_x/dx + dE_y/dy + dE_z/dz = ρ
ベクトル E の各成分の成分方向の微分の和である div E はスカラー場である。 発散は、正が流れの源(湧き出し)を、負が出口(吐き出し)を表す。
電場の発散 div E は、その点の電荷密度ρ(SI 単位では、ρ/ε_0)である。 任意の閉曲面 s を貫く電場 E の面の法線 n 方向成分の総量(面積分)は、 体積 v 中の電場の発散 div E の総量(体積分)(電荷量)に一致するという、ガウス(Gauss)の定理がある。
∫_s E・n ds = ∫_v div E dv
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発散の定義とガウスの定理とは、次のように密接に結合した概念である。 図 2. の左図の微小な立方体において、x,y 面でのベクトル A の z 成分 A_z をその面積 dxdy だけ積分する。 こちら側の面の分から dz だけ離れた裏面の分を引く。同様な、y,z 面、z,x 面の減算も加算すると、 次の式となるが、これは、体積 dxdydz と div A との積となる。 (A_x(x+dx,y,z)-A_x(x,y,z))dydz + (A_y(x,y+dy,z)-A_y(x,y,z))dzdx + (A_z(x,y,z+dz)-A_z(x,y,z))dxdy
= dxdydz ( dA_x/dx + dA_y/dy + dA_z/dz )
図 2. ベクトルの発散と回転
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前からの風に影響を受けない迎角 0 度の羽をもつ微小な風車を考え、 任意の点において空気の回転を調べる。静電場のように渦のないベクトルもあるが、 風車の回転は、ある方向に向けたときが一番大きいだろう。渦は方向と大きさを持つ。 回転 rot E (curl E) はベクトルであり、その点の流れの循環、渦を表す。 渦の向きに右ネジを回して進む方向と、渦の大きさの長さをもつ。
rot E = ( dE_z/dy - dE_y/dz, dE_x/dz - dE_z/dx, dE_y/dx - dE_x/dy )
任意の閉曲線 c の曲線に沿うベクトルの線積分は、c が囲む任意の面 s 内のベクトル の回転の法線成分の面積分に等しいという、ストークス(Stokes)の定理がある。
∫_c E・dc = ∫_s rot E・dn
回転の定義とストークスの定理とは、やはり密接に結合した概念である。 図 2. の右図の微小な正方形で、面内ベクトル A と 4 辺の矢印との内積の線積分を一巡すると、 この式は、面積 dxdy と (rot A)_z の積となる。
∫_c A・x = A_x(x,y) dx + A_y(x+dx,y) dy - A_x (x,y+dy) dx - A_y (x,y) dy
= (A_x(x,y)-A_x(x,y+dy))dx + (A_y(x+dx,y)-A_y(x,y))dy
= dxdy ( dA_y/dx - dA_x/dy )
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スカラー場の勾配 (gradient) は、その空間微分を成分とするベクトルである。 時間的に変動しない場では、電場はスカラーポテンシャル(電位)の下り勾配として表される。 E= -grad φ = -∇φ
grad φ= (dφ/dx, dφ/dy, dφ/dz)= ∇φ
∇は、デル又はナブラと読む。grad の記号の代わりに使う。∇= (d/dx, d/dy, d/dz) オペレータ(演算子)をベクトルのように考え、 div は、∇との内積であり、∇・と書き、rot は∇との外積、∇x とも書く。
ρ= - ∇・∇φ
(∇・∇)は、∇^2 又はΔと書き、スカラーの勾配の発散で、スカラーを与える。Δ= d^2/dx^2 + d^2/dy^2 + d^2/dz^2 は、ラプラス (Laplace) の演算子、ラプラシアンという。Δφ= -ρ をポアソン (Poisson) の方程式、真空中では ρ= 0 から Δφ= 0 をラプラスの方程式という。 スカラーポテンシャル φ の空間的 2 階微分の負(上に凸)が電荷密度ρという、静的な2階の微分方程式である。 (Δφ= ρ と書くときはΔの定義が違う。動的な電荷密度やポテンシャルを記述するには、□φ= -ρが必要。)