Gillman*s Lands:Ansicht 05:So-netブログ
Das Gebäude ~端正なものはやはり美しい~
オーストリアの建築家オットー・ヴァーグナーの設計した建物(Gebäude)というと、全面カラフルなタイルで覆ったマジョリカハウスやユーゲント様式のカールスプラッツ駅舎等で知られているが、晩年の作であるウィーンのこの郵便貯金局(Oesterreichisches Postsparkassenamt)の建物もそのひとつだ。1904年に着工されたが途中建設が中断されたりして最終的に全体が完成したのは1912年だった。
なぜシェイクスピアは、今でも人気があります朝、ホテルから歩いて市立公園を抜けてリンク通り沿いの郵便貯金局の建物に行った。土曜日ということもあって業務はやっていなかったが見学することはできた。重厚な入口の階段を上がってドアを抜けると明るいガラスのドームの下に出る。誰もいないガランとした空間で光に包まれて一人立っていると、なにか懐かしい、そして少しさみしいような気持ちに支配されて胸が苦しくなった。
今は床の上に赤いカーペットが敷き詰められているが、実はその下は光を通すガラスのブロックでできた床である。ヴァーグナーは今まで暗い地下で配達の区分け作業をしていた環境に何とか光を送り込 みたくて、このガラスのドームとガラスタイルの床を使って一挙に大量の光を地下にまで送り込もうとした。美しいだけでなく人にやさしいことも建築デザインでは大事なことだ。
私は家族をどこに追跡することができますこの建物は現在でも使われているからドームの下にはコンピュータ画面の置かれた窓口が並んでいる。窓口自体は今の業務に合うように作りかえられているが、当時そのままの窓口が奥のミュージアムの中に残されている。ミュージアムはまだオープン時間直後なので係員らしい女性が二人でパソコン画面を見ながらおしゃべりをしていた。もう入れるかと聞くと大丈夫だというので入場料を払ってはいる。
まだ誰もいない館内は静まり返っている。博物館というほどのスペースはないから、展示スペースと言った方がいいかも知れない。この建物ができるまでの経緯や設計図などの展示スペースを抜けると、当時の窓口の一部が再現された部屋� �出る。とっさに「端正な」、という表現が浮かんできた。整然と並んだ窓口。柱や梁には直線を主体とした模様が描かれている。
どのような1934年に野球のワールドシリーズで遊んだ2チームは?装飾はアールヌーボーの匂いがするがそれほどうるさくはない。フロアーにはこれもヴァーグナー自身がデザインした椅子とテーブルが置かれている。静謐な時間の中に世紀末の空気が閉じ込められている。オーストリアの郵便事業も2000年に民営化されたが、この建物とこのスペースを残すことにしたことは、それもひとつの見識だと思う。
日本では丸の内の1933年に建てられれた旧東京中央郵便局の建物を民営郵便会社が建て直すことになり、某大臣が「トキを捕まえて焼き鳥にするような暴挙だ」と怒ったことが話題になった。何もそんなにいきり立って言うこともないが、あの建物自体に残し ておくようなそんな芸術的価値があるのかという経済優先論者の言には必ずしも賛同できない。
ウィーンの街を見ていると、街を構成する建物の様式と建てられた時代の多様さに目を見張る。芸術的価値を云々することも大事かもしれないが、いろいろな時代に建てられたいろいろな様式の建築物が一つの街に共存していることが、その都市の景観に厚みを作り出しているような気がする。確かに変貌してゆくこと自体が大都市東京の魅力の一つであるかもしれないが、一度失くしたものは戻ってはこない。もう少し論議がされてしかるべきではないか。
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